トラース・オン・プロダクト(6696)事業内容、業績、成長可能性|IoT製造メーカー、注目小型株
- 2020.06.27
- 株式投資
トラース・オン・プロダクト、何をやっている会社か。
IoTソリューションサービス及びIT業務支援サービス。IoTソリューションサービスでは、STB(セットトップボックス)、デジタルサイネージ、ウェアラブルアイテムなどを開発製造。
STBとは、
ケーブル-テレビのケーブルと受像機を接続する装置。双方向通信を用いて,インターネット接続やビデオ-オン-デマンドの機能をもつものもある。
出典:三省堂 大辞林
現時点での主力商品は、IoTソリューションの中のSTBと思われる。
注目すべきは、ウェアラブルアイテム、シグナスと呼ばれる商品。
https://www.tranzas.co.jp/top/wearable-2/
Apple WatchのBtoB版と考えれば理解しやすい。
利用シーンは様々、レストランのオーダリング、工場の生産工程での活用、物流シーンでのバーコード読み取りなど、より人と情報が密着することで生産性が上がると考えられる場面では全てが対象となりえる。
トラース・オン・プロダクトは成長ストーリーが描けるか。
ウェアラブルアイテムのシグナスの成長性に期待。
シグナスを通じて、様々な場面でこれまで集められなかったデータの収集が可能。データを活用して生産性が向上できる世界が実現できれば、面白い。
例えば、工場の生産ラインで問題が起きたときに、これまでであれば周りの音に掻き消されて気づくことが遅れてしまうケースもあった。
しかし、ウェアラブル端末を身につけていれば、担当者に早期に伝達、対処が可能、誰がどのように、どのぐらいの時間をかけて対処したかまでデータ収集可能。
ホテルでは、室内のセンサーによって、部屋に客がいるかを確認、端末が電気、エアコンと連動すれば省エネにつながる。
今後、人手不足が課題となる日本において、課題を解決する端末であることが理解できる。
シグナスと連携するソフトウェア提供元(Value Added Reseller)が拡がれば、拡張性は期待できる。順調に増えている模様。
これはプラットフォームモデルに近い。シグナスがBtoBにおける端末のプラットフォーマーとなれれば、市場の広がりは計り知れない。
台湾とシンガポールに拠点があり、グローバル展開での志向。今年、マレーシア米国大手半導体メーカーに導入。
IoTの製造から販売まで一気通貫で提供可能な体制、垂直統合モデル。
トラース・オン・プロダクト、過去の実績から、経営は堅実であるか。
出典:当社HPより
順調に成長していることが見て取れる。売上は、2014年から2016年にかけて2倍に。
また、当社が提供している映像支援事業(STBなど)はホテル業界がメインとなると考えれられ、訪日外国人の増加傾向に伴うホテル開発、更新需要が成長にあるのだろう。
今後も訪日外国人は右肩上がりに増え続けると考えられ、マーケット環境は良好。
販売先メインは加賀電子(8154)、独立系電子部品商社。
トラース・オン・プロダクト、財務は健全で余裕はあるか。
有価証券報告書-第24期(平成29年2月1日-平成30年1月31日)より、
現金及び預金 約11億円
有利子負債 無し
負債合計 約2.5億円
直近の上場で調達した資金あり、財務体制は安定。今後成長に向けた投資が実施できる体制である。
トラース・オン・プロダクト、ビジネスモデルに優位性はあるか。
技術的な面はよく分からないが、ポイントとしては、
垂直統合モデル、一気通貫で製造販売が可能。
したがって、小ロット対応、コスト優位が他社に比べてありそう。
IoT端末のソフトウェアのナレッジが蓄積されていて、横展開が可能。ソフトウェアのモジュール化によって多様な機能を持つ端末に対応が可能。
成長への継続的投資を実施しているか。
ウェアラブルデバイスを中心に積極的に成長投資を実施していることが分かる。上場の目的もグローバル展開に成長に向けてということ。
優秀な経営陣はいるか。
経歴:
代表取締役社長CEO藤吉英彦
1995年、大学在学中に通信関連サービスの提供を目的として起業、代表取締役社長に就任(現任)。インターネットプロバイダー事業、映像配信機器の製造販売、システム受託開発と、次々に新規事業を展開。2012年、北京大学民営経済研究院EMBAを修了。
出典:当社HPより
インタビュー記事がありました。
http://www.tokyoipo.com/blog/pickup/?p=212
理系、技術屋、静岡出身、20歳で起業。
学生時代から起業している生粋の起業家という印象。工学部出身なので、機械系がもともと好きなこともあって、現在の事業に繋がっているのだろう。
抱いている価値観も面白い。
「すべての物事は自然の摂理に従って起こる」という信条を持っています。植物は、根を張らなければ、幹は太くなりません。幹が太くならなければ、実る果実も全部落ちてしまう。葉に光が当たらなければ枯れてしまう。商売にも同じことが言えると思います。
どのようなことかというと、成長しているマーケットで勝負しないと上手くはいかないということでしょう。
戦う土俵の選択がいかに重要かということ。そういう意味で、IoTのマーケットという巨大マーケットを勝負する土俵として選んだのだと。
ゼロベース思考の持ち主であること。
インタビューの最後の部分にコスト感覚について記載あり、学生起業家だったからこそ、他の企業がやるようなコスト計算ではない、本質的な考え方をしているとのこと。
この点はかなり重要。キャッシュの動きを若い頃から考えている起業家は強い。
一方で、サラリーマン的にキャリアを歩んだ経営者は、これまでの経験ややり方が染み付いているため、それには疑問を感じない。
そのため、起業家気質の経営者が新しい取り組みや既存の枠組みを超えたやり方を試している間に、両者には大きな差が開いてしまうのだろう。
技術屋、起業家気質、正しいコスト意識と価値観。記事からでしかないが、面白いと思った。
トラース・オン・プロダクト、株価は割安であるか。
2018/5/8 時点
時価総額(百万円) 7,026百万円
PER(株価収益率)(倍) 38.14倍
PBR(株価純資産倍率)(倍) 5.12倍
現時点では、多少割高な印象が否めないが、成長マーケットで面白い取り組みをしていること、事業の展開範囲が広いことを考えると適正水準か。
総括
注目点
・ウェアラブル端末の今後の展開に期待大
・垂直統合モデルにより可能となる、小ロット生産やコストに強み
・グローバル志向
・経営者が起業家気質
・財務安定、今後の成長に投資できる体制
・株価は現時点では割安とは言いにくいが成長を加味した場合ポテンシャル高いか。
懸念点
・技術的な優位性が不明確
・STB(セットトップボックス)の売上依存度が高い
・ウェアラブルデバイスの売上規模は未だ未知数
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関連記事:小型株・成長株、銘柄一覧まとめ【日本の有望銘柄80社をブログで紹介】
方法③:著名な投資家の本を読む
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