ソフトバンクが物流業界参入、背景にある理由、今後考えられる戦略とは何か。
- 2019.02.16
- ビジネス・経済
ソフトバンクが物流業界に参入するというニュースについて、なぜ参入するのか、その背景について考えてみたいと思います。
昨今、物流業界はEC市場の伸びに伴い成長しているものの、人材不足による課題は山積みです。このタイミングでなぜソフトバンクが物流業界に参入したのか、ソフトバンクの現状理解をもとにいくつか仮説を考えてみました。
物流業界のトップになれると考えているから
さて、この物流業界のトップになれると考えているとは、抽象的な話ですが、孫社長の性格上、やるからには業界No1は目指すと考えられます。
物流業界は市場規模20兆円と言われる巨大産業。後発企業であるソフトバンクが業界No1になれるという勝算はどこにあるのでしょうか。
仮説として考えられるのは、2点。
1点目は、ソフトバンクが有する最先端技術を生かして業界にイノベーションを起こせると考えているから。
2点目は、資本力を生かして業界再編を考えているから。
それぞれの仮説を考えていきましょう。
仮説1. ソフトバンクが有する最先端技術があれば勝算ありと考えているから
ソフトバンクの孫社長は、長期戦略を持っていて常に先を見越した戦略を持っています。
最先端技術を有する会社をグループに取り込み、会社を大きくしてきました。
今のソフトバンクグループには、あらゆる最先端の技術を有する会社が存在しています。
サウジアラビアが出資したビジョンファンドの規模は総額10兆円を超えており、投資先は錚々たる企業があります。
特に注目すべきは、先日トヨタ自動車と協業を発表した自動運転やモビリティの分野。
自動運転のコア技術を有する、NDVIAやArm社への出資はその表れです。
物流業界には、倉庫の自動化、自動運転、人工知能による配送ルートの最適化、IoTなど様々な最先端技術によるイノベーションが起きています。
今回は、特にその中でもソフトバンクがコア技術として強みを持っているであろう自動運転技術の分野を生かして、物流業界にイノベーションを起こせると踏んでいるのではないかと勝手に想像しました。
現在物流業界で課題になっているのは、人手不足、特にトラックドライバーの不足です。
トラックドライバーの不足によって配送コストは上がり、物流費用の高騰、そのしわ寄せが倉庫業者や消費者に波及し始めている状態です。
もし、仮にトラックの自動運転技術が確立することができれば、他社が真似できないイノベーションを物流業界に起こすことができ、一気に業界トップの地位に躍り出ることができるのではないでしょうか。
なぜかというと、物流会社の成長はどこまでいっても労働集約的なトラックの運転手や倉庫内の作業人員に制約を受けます。
仮に、この制約が自動運転や倉庫の自動化、配送ルートをAIにより最適化ができれば、圧倒的な競争優位になることは想像に難くありません。
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仮説2. 資本力を生かして業界再編を狙えると考えているから
さて、これは少し無理な仮説かもしれませんが、ソフトバンクという巨大な会社が有する資本力を活用して、物流会社をM&Aによってグループに組み込むという戦略によって、No.1の規模になれると考えているのではないでしょうか。
しかし、運送業界に関しては、業界トップの日本通運、日本郵政、ヤマトHDでシェアの過半を有しているので、中小の運送業界をM&Aしたからといって、業界トップになるには時間がかかりそうです。
そして、宅配物流(EC物流)に関しては、ヤマト、佐川、日本郵便の大手3社が90%以上のシェアを有しており、実質寡占状態です。
そう考えると、ソフトバンクが業界トップになるためには、業界トップの企業のどこかと組むことが予想されるのかなとも考えられます。
仮説3. 将来EC事業に参入を考えているから
これは、少し無理な仮説かもしれませんが、無理だと思うこともやってのけるのがソフトバンクなので一応載せておきます。
日本のEC市場は、実質アマゾンに支配されています。
通販・EC売上ランキングまとめ【2018年夏版】300社合計7.1兆円、トップはAmazonで1.3兆円
皆さんも日常生活をしていれば、すでにお分かりだと思います。
ECでの購入はアマゾンで、最近はアマゾンプライムの会員化によって、EC以外にも動画の視聴など生活の様々な分野に横展開しています。
ソフトバンクとしては、ここは危機感を感じているものと思われます。
ソフトバンクは携帯電話という万人が使用するデバイスをもとに、大規模な顧客を獲得し、そこから事業を拡大させていきました。
しかし、今はアマゾンが大きく台頭し、巨大な経済圏を確立しています。
アマゾンに追随できないのは、なぜか。もちろんECサイトの運営や技術力もあると思いますが、根底には物流インフラがあると思われます。
アマゾンが物流にどれだけ投資しているかが楽天との比較でよくわかる記事がありましたので、参考に引用します。
楽天の物流拠点は千葉県市川市に2カ所、兵庫県川西市に1カ所の合計3カ所での運営にとどまっており、延べ床面積の合計は15万平方メートル超だ。
一方のアマゾンは、堅実に物流拠点を整備して、日本では現在倉庫が15カ所ある(2018年6月)。今後も需要に応じて増設をするだろう。開示していない場所があるので延べ床面積はわからないが、アマゾンが2013年9月に稼働した小田原の物流センターだけでも延べ床面積は20万平方メートルだ。小田原1カ所で楽天の全面積を悠々と凌駕している。
日本でトップシェアを誇るであろう楽天でも、すでにこれだけの差をつけられているのです。
ソフトバンクが脅威に感じているのも納得ができるはずです。
そこで、ソフトバンクは、最初で提示した、最先端の技術と資本力を生かした物流業界参入によって長期的には、アマゾンのライバル企業となり得る総合EC企業の設立を考えてたりするのではないでしょうか。
以上勝手に想像してみましたが、やはり物流の重要さを痛感せざるを得ないニュースでした。
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[…] 前回、ソフトバンクが物流参入した理由仮説記事に加えて、物流スタートアップまとめ記事、ラクスルの物流事業など当サイトでも物流関連テーマには注目しております。 […]