なぜ不動産の価格は下がっているのか。不動産価格の下落要因について考えてみた。
- 2019.04.02
- ビジネス・経済
最近、不動産価格の下落の予兆が始まっている気がしています。
自宅のチラシにも、マンション価格が割引されて販売しようとしているものを見る機会が増えてきました。
今回は、マンション、不動産価格がなぜ下がっているのか、その要因について、一旦調査なしで考えていきたいと思います。
シンプルな考え方として、不動産価格は需要と供給の関係で決まるものであり、それぞれの観点から考えてみたいと思います。
不動産に対する需要が減ったから
不動産購入の目的としては主に投資目的と住居目的があるかと思います。
まずは投資目的のニーズが減った要因について考えていきたいと思います。
リターンを計算した時に旨味がなくなったから
不動産投資として、意思決定する時に誰でもリターンを想定で計算すると思います。
そのリターンの計算過程において、投資する旨味がなくなったと判断している人が増えたことが大きな要因として考えられます。
何がリターンに影響を与えるのか、それぞれの要素を分解して考えていきます。
将来的に、売却時の不動産価格が上がると予想ができないから
単純に将来の不動産売却価格に対して悲観的ということが大きな要因としてあるでしょう。
不動産価格は、その地域周辺の地価 X 広さ、によって決まります。
地価は需要と供給によって決まります。
需要は、ニーズがどれだけあるのか、大きな要因としては、その地域の人口動態、そして世帯別の資金力によって決まるでしょう。
人口動態としては、既存の人口の増減率、そして新規に新たな地域からの流入率、流出率で決まります。
日本全体としては、人口は減少傾向であることは変わらないです。
そのような中で、新規の流入と流出率には地域によって大きな偏りが出てくると私は予想しています。
現在、マンション価格が下落している要因の一つとしては、将来的な人口動態の予想に対して悲観的な人が増えていることが考えられます。
人気な地域は、ごく一部に限られ、その地域はますます人が集まり、需要は増すでしょう。
一方、その他の地域は、人口は増えることはなく、減少の一途をたどるため需要と供給の関係から地価は上がることはありません。
この両極端の地域の格差が増しているのではないかと私は考えています。
そして、人気のない地域の割合が増え、人気のある地域の割合は少なくなり、よって全体としては地価が下がっている、マンションの価格が下がっているように感じるのではないでしょうか。
周辺地域での不動産の供給が増えているから、地価が減少している
次に供給面に目を向けてみましょう。地価の決定要因として、供給面にも目を向けないといけません。
シンプルに言えば、需要に対して供給が増えすぎてしまっていることが、不動産価格が下落している大きな要因として考えられます。
なぜ、供給が増えてしまったのか、これは不動産会社や金融機関による経営方針が大きく影響していると考えられます。
日本経済は、今後大きく成長する見込みはありません。
人口は減少し、高齢者は増え、財政負担は増えるばかりで、企業の国際的な競争力も減少しています。
そのような中で、オリンピックを控えた日本はまだ景気が良いと思われていてます。
不動産会社としては、景気の良い段階で売り切らないと逃げ切ることはできません。
オリンピック以降の景気悪化を予想して、とにかく早く不動産を多く開発して、売り切りたい。
それが不動産会社各社の本音として考えられるでしょう。
そして、各社ともそのような同じ動きをしているから、どこの会社は周りに追随するしかありません。
チキンレースのようなもので、その流れにうまく乗らないと、トランプでいうババを引かされていまします。
したがって、各社とも不動産の供給量を増やしたので、重要を上回る状態に達した時に、各社とも売り切りたいので、とにかく値下げでも何でもするという姿勢に転じたのでしょう。
家賃収入が安定するとは考えにくいから
次に地価以外の要因として考えられる家賃収入についても考えてみます。
家賃収入も、家賃単価と賃貸月数で決まります。
家賃単価も、上記と同様、需要と供給の関係で決まりますが、先ほど述べたとおり人気と不人気の地域の格差は広がっています。
そのため、一部の地域でしか家賃は安定しないし、上昇はしないでしょう。
次に賃貸月数に関しても、これからは長期で賃貸してくれる層は減ると考えられます。
理由としては、ファミリー世代の減少と働き方の変化によるものです。
ファミリー世代であれば、一定長期間賃貸が期待できますが、日本の世帯数は減るばかりです。
そして、独身の世帯数も増えてきています。
次に働き方に関しては、かつての終身雇用のモデルは、機能しなくなってきました。
労働の流動性も増えてきており、勤務地が変わることも多くなってくるでしょう。
そのようなことを想定すると、同じ場所に一生住むというライフスタイル自体が変化しています。
すると必然的に賃貸月数も短期化して、不安定化します。
そういうことを見越すと、賃料収入が安定するとはなかなか考えにくい。
初期投資の費用負担が増えたから
これは金融機関の方針の変化が大きいでしょう。
これまで、金融機関はマイナス金利による収益源から、貸し出しを増やし、とにかく収入を増やす戦略を取っていたと思われます。
それが、あまりにも短期的な数字を追う姿勢によって社会問題となり、最近は審査体制の見直しが図られ、厳格化されています。
すると、これまでローンを組めた人が組めなくなったり、頭金が増えたりします。
すると、投資家の初期投資費用負担が増すので、負担が増えるのであれば、不動産投資はしないという選択になったのではないでしょうか。
個人の資金力が減少したから
これは単純な理由として、投資するだけの資金的体力が減ったからというポイントです。
2018年度は株価は低迷、実質賃金成長率も鈍化しています。
そして、保険料も引き上げ、今後は消費増税も控えています。
そのような中で、資本力自体が減ったことによる投資を控えていることも要因としては大いに考えられます。
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