いきなりステーキ運営、ペッパーフードサービスが米国進出に失敗して赤字転落した理由の仮説
- 2019.02.15
- ビジネス・経済
日本で大成功を収めたいきなりステーキを展開するペッパーフードサービスが米国進出に失敗して、赤字転落したニュースがありました。
今回は、米国進出に失敗した背景について、情報無しで一旦、いくつか仮説を考えてみたいと思います。
仮説1. 業態に真新しさがなかったため新規顧客獲得が難しかった
いきなりステーキは、日本では大成功を収めました。理由としては業態が新しかったからです。
割と品質の高いステーキをボリュームが多く、かつリーズナブルな値段で食べられるという業態は、これまで身近にあるようで、ありませんでした。
日本においては、ステーキはどちらかというと高級であり、吉野家の牛丼屋マクドナルドのようにビジネスマンがランチに気軽に食べられる商品ではありませんでした。
この点、いきなりステーキは、リーズナブルな価格と質の高さで一般消費者の多くに提供したモデルに真新しさがありました。
では、今回の米国進出はどうだったのでしょう。
私が思ったのは、米国ではステーキは既に当たり前のように食べられているのではないかという点です。
いきなりステーキのブランドを米国で出したとしても、ステーキショップの競合は数多くあり、真新しさがなかったため、新規顧客の獲得が難しかったのではないかと推察されます。
ステーキは、もともと本場アメリカから日本が輸入したものですし、この仮説はあながち間違っていないかもしれません。
仮説2. 店舗展開、立地戦略を間違えたから
次に思いついたのが、米国での店舗展開の戦略を誤った可能性があります。
いきなりステーキを大々的に宣伝するために考えられる戦略としては、一等地に店舗をオープンして行くこと。
マクドナルドがかつて、銀座の一等地にオープンしたようにブランドイメージをつける、注目度を集めるという意味で一等地にオープンする戦略を考えていたかもしれません。
この戦略は、商品が受け入れられればという大前提があるのですが、もしかしたら高い家賃を賄えるだけの売上を出すことが後々難しいことが判明して、閉店となったかもしれません。
いきなりステーキの立地戦略のイメージとしては、日本と同様、オフィス街、ビジネスマンをターゲットにした立地戦略があります。
米国でも同様の戦略で店舗展開をすると、ニューヨークやカリフォルニア、サンフランシスコなど超一等地に店舗をオープンすることになります。
日本と比べて、米国の場合は特にオフィス街の不動産価格が高すぎて、家賃を賄えるだけの売上を出すことが、そもそも業態上困難な可能性があったのではないかと考えました。
関連記事:なぜドンキホーテは人気なのか、ビジネスモデルと強みは何か
(店舗戦略の重要性は、ドンキホーテの戦略が参考になります。)
仮説3 人件費が高かったから
都市部、オフィス街に店舗を出すとすると必然的に人件費も高くなります。
米国の場合は日本と比べて、最低賃金水準などの設定が高く設定されている可能性があり、人件費が店舗経営を圧迫していた可能性があります。
そして、もう一点気になるポイントとしてはスタッフの働き方の違いに関してです。
日本人のスタッフは、世界に比べて優秀な印象があります。
私たちは日常的にその優秀さに気づかないかもしれませんが、海外に行くとその違いに唖然とすると思います。
つまり何が言いたいかというと、日本では1人のスタッフがやっていた当たり前のことが、米国では2人でやらなければいけない状態があったのではないかということです。
単純計算だけで、これだけで人件費は2倍かかるので、人件費が経営を圧迫するのも納得ができます。
この状態を改善するためには、日本人の教育マネジャーが米国のスタッフを教育しなければいけません。
これだけでも教育費用と時間がかかるため、店舗の立ち上がりが遅くなってしまいます。
仮説4 商品価格が高すぎて、価値を感じてもらえなかったから
これは、仮説3と仮説4から推測されることなのですが、家賃と人件費が高くなると収益化するためには、値段設定を高く設定するしかありません。
しかし、米国ではステーキは特別感はないものであって、もしかすると値段に対して価値を感じてもらえなかった可能性があります。
まとめ
勝手に仮説を考えてみましたが、日本の飲食店が海外で成功する事例はかなり稀だと思っています。
その理由としては、上記仮説の通り、
・差別化が難しい
・現地消費者に受ける業態ではない可能性が高い
・立地戦略、店舗開発が難しい
・人件費、教育コストが高い
といった理由があるからではないでしょうか。
では、いきなりステーキはどうすれば良かったのか。
例えばですが、以下の通り施策を試してみることはできたかもしれません。
・現地ステーキ会社と業務提携もしくは出資、現地に受けるステーキの味やオペレーションを研究する
・いきなり多くの店舗を展開しないで、実験店舗を作る、小さく始める
・フードトラックで味が受けるか試してみる
・ローカルの実績ある外食オペレーターと組んで店舗を運営する
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