現場力とは何か – 現場力を鍛え、高めるために経営者ができること

現場力とは何か – 現場力を鍛え、高めるために経営者ができること

グローバル化、技術革新によってこれまで以上にビジネスの世界は複雑化が進んでいます。

環境の変化や消費者のニーズの変化に対応できない企業は衰退し、変化に対応できた企業は生き残り成長します。

変化に対応すること、これこそが今後の企業経営に求められる特に重要な要素です。

そして変化に対応するためには、現場力が必要不可欠となってきています。

現場力とは何か。

現場:従業員が関わる業務範囲全てが現場に該当します。
現場「力」:現場力の「力」は、顧客への提供価値を維持、そして増やす力

企業は、何らかの価値を顧客に提供することで対価をもらい存続することができます。その価値を維持、増やす活動こそ現場力であると考えられます。

具体的に考えてみましょう。

・営業部門の現場力とは、自社の製品やサービスをより多くの人に知ってもらい、購入してもらうことで顧客の価値を増やすことができます。

・マーケティング部門の現場力とは、より多くの人に商品・製品の魅力を知ってもらうことで、使用する人が増えれば、顧客への新たな価値を提供することができます。

・生産部門では、顧客が求めてる品質を維持する活動ならびに、顧客により多くの新たな価値を提供するための工夫を継続することが現場力になります。

・人事は、顧客への価値をより多く提供するために、組織の従業員がモチベーション高く働いてもらうための施策を実施したり、優秀な人材を採用することが間接的に顧客へのより多くの価値提供につながります。

全ての活動は、直接的、間接的問わず、全て企業活動の中でのコアである顧客への価値提供につながっています。

そして、その価値提供の活動の中で、現状の水準を維持すること、ならびに現状以上に高める活動全てが現場力と定義できます。

ここで重要なのは、顧客起点であるということです。

いくら現場力を高める活動といっても、顧客に対して何ら価値提供につながらないような活動は、意味をなしません。

極端な例ですが、営業部門が押し売りをするような活動をすることは、顧客の価値向上に繋がりません。
マーケティン部門が全くターゲット外を対象にした広告宣伝を実施することも顧客の価値向上に繋がりません。

顧客目線で物事を考えることの重要性が現場力には必要不可欠であることが理解できると思います。

そして現場力には、二種類の付加価値を提供する活動があります。

一つ目は、現状の提供価値を維持する活動
二つ目が、現状の提供価値をよりよくする活動

一つ目は、日々携わっている業務の大半であります。現状を維持する活動と捉えてもらって構わないと思います。

二つ目は、より多くの価値提供につながるような改善であったり、新たなアイデアの提供が当てはまります。

現場力の定義、構成要素が理解できたところで、次は経営者が現場力を高めるためにやるべきことをチェックリスト項目のような形で考えてみたいと思います。

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現場を理解しているか、その努力を継続しているか。

現場力を高めるためには、現場がどのような仕事をして、どこに課題を感じているかを理解しないと話が始まりません。

経営者は、現場は従業員全ての業務であることを認識するとともに、可能な限り現場の理解に努めなければいけません。

経営者が現場を理解する方法とは

組織が大きい場合は従業員全てと面談して隅々まで理解することは不可能です。

現場を理解する仕組みを導入する方法が考えられます。

マネージャーを通じて現場を理解し、マネージャーを通じて経営者が現場を理解するということです。

そのためには、マネージャーレベルの人材に現場理解をすることの重要性を強く説かないといけません。

ただし、間接的に聞くだけではイメージも理解も深まらないので、やはり時間の許す限り現場レベルまで降りてコミニケーションを取る必要があります。

方法としては、インタビューやヒアリング、雑談をするなど様々ありますが、積極的に話しかけ、コミニケーションを取る必要があります。

この時重要なポイントは、現場の人が何を考えで日々の業務に取り掛かっているのか、何に悩んでいるのか、を理解することです。

他愛のないコミニケーションも必要ではありますが、何のためのコミニケーションかを理解する必要があります。

そして、イメージや想像力を働かせて、相手の立場になって物事を考える思考法を身につけなければいけません。

理想的には、経営者自身がその業務に携わっていたことがあることがベストですが、そうでない場合でも想像力を働かせることはできます。

現場へ常にミッション・ビジョンを発信しているか。

現場力を高めるためには、従業員一人一人が、なぜ会社に所属して、何のために働いているかを強く認識する必要があります。

それは、つまり会社のミッションやビジョンを理解するということです。

会社のミッション・ビジョンを発信することがなぜ重要かというと、従業員が目的意識を持つことができ、より高いモチベーションを維持ができるからです。

自分の日々の業務や仕事が何につながっているのか、会社という組織を通じて何を成し遂げようとしているのか。

その点を頭でしっかり理解でき、腹落ちしている従業員はモチベーションが高く維持でき、顧客への提供価値の維持、改善、新たな創出ができます。

これは当たり前のことですが、怠っている経営者は多いです。

具体的に考えてみましょう。

例えば野球チームで考えてみましょう。

チームAは、ミッションが明確。

ミッション:今年甲子園に出場して、優勝を目指す。

メンバーは、日々のノックやランニングが全てチームのミッションのためということを理解でき、高いモチベーションを維持できます。
そして、メンバーは個々人でどうすればより強くなれるか自発的に考え始めます。

一方チームBは、監督がミッションを伝えていません。特にミッションを伝えることなく、ただ淡々と練習をこなす。

メンバーは何のために練習しているのか、目的意識を持てません。目的意識を持てないので、チームの一体感もなく、モチベーションの維持も難しいです。

分かりやすく、スポーツで例えましたが、ビジネスにおいても究極的には同じです。

現場を巻き込んだ経営ができているか。

現場を理解したところで、経営に活かせないようでは意味がありません。

現場を理解したところで、理想的には何らかの重要な意思決定を現場と一緒に決定すること。

そして、意思決定した内容の実現のために現場と一緒になって、経営者も目標達成を目指す姿勢が求められます。

もちろん、つきっきりで一緒に活動はできないでしょうが、面談を通じて、考え方やプロセスを変えることはできます。

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現場力が強い企業の代表例として、ドンキホーテが挙げられると思います。

現場力を高めるための訓練や仕組みを提供しているか。

現場力の特に価値を向上させるための取り組みは、自然にはなかなか身につきません。

顧客への価値を向上させるためには、
・現状の問題を解決、改善すること
・新たな価値を創出すること
の二種類がありませす。

前者の場合は、問題を発見し、解決するプロセスを仕組み化することが可能です。

例えば、現場での課題や問題を見える化し、情報共有する仕組みを作ることはできます。

そのために、問題や課題を共有することが奨励されるような企業文化でないといけません。

こういう仕組み作りや風土作りはまさに経営者が率先して担うことであります。

新たな価値を創出するということも同様。新たなアイデア大会やアイデアをシェアする仕組みを社内で導入することはできませす。

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従業員のモチベーションの状態を常に確認しているか。

従業員のモチベーションの高さこそ、現場力に直結します。

そのため、経営者は常に、従業員のモチベーションの状態がどのようなものかをチェックしなければいけません。

外部機関を利用するでも良いし、自分で腹を割って話すでも良いし、何らかの形で指標化することは可能です。

そして従業員のモチベーションを高める取り組みを継続的に実施することが重要です。

具体的には、

・積極的な権限委譲で責任を持たせる
・明確な目標を設定する
・仕事の成果を認める、表彰する
・会社のメンバーの関係性を深める取り組みを実施する
・働きやすい環境を整備する

などです。

一番やりやすい方法としては、今、現在従業員のモチベーションを下げているものを取り除くということです。

従業員のモチベーションを下げているのは、実は経営者自身だったりします。

ここは素直に客観的に分析して改善する必要があります。

この点は、外部の人材を活用するなりして、第三者から評価してもらうことが重要です。

関連記事:目標達成のコツ、習慣の力を活用、モチベーションを維持し目標達成を目指す。

まとめ

いかがでしたでしょうか。現場力というものが何を表すのかを再定義して、現場力を高めるために経営者ができる取り組みをチェック項目としてまとめてみました。

以下、最後にまとめてみます。

・現場を理解しているか、その努力を継続しているか。
・現場へ常にミッション・ビジョンを発信しているか。
・現場を巻き込んだ経営ができているか。
・現場力を高めるための訓練や仕組みを提供しているか。
・従業員のモチベーションの状態を常に確認しているか。