なぜ錦鯉(ニシキゴイ)が中国人富裕層の間で人気となっているのか
- 2019.04.01
- ビジネス・経済
最近よくニュースで出ているニシキゴイ。なぜ中国人の間で人気にとなっているのか。仮説理由を考えてみたいと思います。
筆者は、大きく分けて3つの理由があると考えました。
大きな分岐点は、個人的な目的か、他者を起点にする目的かです。
他者起点の理由としては、保有し続けるか、譲渡目的かで異なります。
その前にまずは簡単にニシキゴイについての知識を確認したいと思います。
錦鯉とは
ニシキゴイ(錦鯉)は、 観賞魚用に改良したコイ(Cyprinus carpio) の品種の総称である[1]。色鮮やかな体色が錦にたとえられた。日本の新潟県で品種改良や養殖が進み、国内各地への移入や海外輸出が進んだ。「生きた宝石」「泳ぐ芸術品」とも呼ばれ、錦鯉の業界団体は日本の国魚と位置付けている。
出典:Wikipedia
錦鯉の価値はどれぐらいか。
高いもので億単位のものもあるみたいです。
以下、参考記事ではオークションで落札された錦鯉の価格が2億円を超えていることが分かります。
参考記事:2億の錦鯉?!!!
それでは、最初の理由について考えていきたいと思います。
個人的理由によってニシキゴイを購入している
これは、個人的な趣味としてのニシキゴイを純粋に楽しんでいるということ。
この場合誰かに見せたいという欲求や売却目的ではない純粋なコレクションとしての目的に近いです。
誰かに知られずに、趣味として収集している人に近い印象です。
ニシキゴイの美しさや、育てることの難しさに魅了された可能性があります。
特に明確な理由はないですが、ニシキゴイが好きという単純な理由でしょう。
中国の富裕層ももしかしたら、一昔のような自分の富を自慢したいといったステージから、自己実現に近い欲求を満たしたいのかもしれません。
このステージにある購買欲求は起点が自分の満足感となっているので、際限がありません。
他者起点の目的でニシキゴイを購入している場合
他者起点の場合には、大きく二つの目的があります。
一つは、譲渡目的、そしてもう一つは譲渡せずに保有目的です。
まずは、譲渡目的を考えてみます。
譲渡目的でニシキゴイを購入しているから
譲渡目的には無償と有償の場合があります。
まず、無料で譲渡する場合にはどういった理由が考えられるでしょうか。
無料でニシキゴイを譲渡する理由
例えば、親しい友人や家族などのプレゼントとしてニシキゴイを購入している可能性があります。
これは純粋に喜ぶ姿を見たいからといった理由でしょう。
次に家族や友人以外の取引先への無料譲渡の可能性が考えられます。
ここは仮説でしかないですが、取引先との関係構築のためにニシキゴイが重宝されている可能性があります。
中国のビジネス習慣を知らないのですが、信頼関係を特に重視する印象があります。
ビジネス上で、ニシキゴイをプレゼントすることは、長期にわたる信頼関係の証として活躍しているかもしれません。
これは日本におけるお中元に近い習慣なのかもしれません。
有償でニシキゴイを譲渡する理由
有償でニシキゴイを譲渡する場合は、単純に購入して転売する形と繁殖や育成して売却する形の二つが考えられます。
単純に転売する場合は、中国市場か海外市場向けが考えられますが、中国市場内で欲しい人がたくさんいるのかもしれません。
ニシキゴイの日本国内での購入場所はクローズドになっている可能性が高く、アクセスが悪いため、ブローカーのような人たちが活躍しているのかもしれません。
中国国内マーケット以外でもニーズはある可能性があります。
例えば、東南アジアや米国でも、中国人ではなくても中華系の人たちは多くいます。
彼らは華僑と呼ばれ、グローバルのマーケットで活躍していて、富裕層も数多くいます。
もしかしたら、彼らを対象として転売している可能性もあります。
次に、繁殖、飼育の可能性について触れておきます。
一番儲かるのはこの方法でしょう。日本から価値のある品種を購入して、自分で飼育や繁殖して個体数を増やすという方法です。
この方法ができるならば、利益は何倍にも膨れ上がることができるでしょう。
問題は、その難易度です。ニシキゴイに価値があるのは、その希少性にあり、繁殖が難しいからこそなのではないかと考えています。
他者起点だが、譲渡せずに保有する場合
この場合は、車や時計、ブランド物のバックといった高級品と同じです。
これらは、周りからどう見られるかを意識した商品で、自慢やステータスの考え方が当てはまります。
ニシキゴイを飼っていること自体がもしかしたら中国の富裕層の間では、ステータスとなっている可能性があります。
車やブランド、時計といったものはある程度資金があれば手に入るものだし、誰もが手に入り珍しいものではない。
一方で本当に美しいニシキゴイは一握り、数も限られているため、すべての人が持つことができない。
そんなところに、持っているだけで他の人と違う、自慢、ステータスとなるという理由があるのかもしれません。
錦鯉、まとめ
さて、これまで色々と考えてきましたが、私は他者起点の保有である自慢やステータスとしての保有理由が根底にあるのではないかと思っています。
富裕層は常に何か他の人と違うこと、他の人が羨むもの、価値のあるものに投資をします。
なぜ、錦鯉を買っているのかという背景を考えることで、ブランドビジネスや富裕層向けのビジネスについてのエッセンスを考えることになりました。
富裕層の対象は移り変わるものであり、欲しいものとしては、キーワードは「希少性」があることを改めて理解できます。
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