大伸化学(4629)事業内容、ビジネスモデル、強みと成長可能性

大伸化学(4629)事業内容、ビジネスモデル、強みと成長可能性

大伸化学(4629)の業績、売上高等を分析、考察しています。

まずは、客観的に事業内容を精査する前に実績値としての数字を見ていきたいと思います。

株価関連情報

(調査日時:2021/2/1)

時価総額:67億円

PER(予):5.69倍

PBR:0.49倍

売上高推移

(単位:百万円)

2016年:25,715

2017年:24,063

2018年:26,623

2019年:29,579

2020年:28,063

営業利益推移

(単位:百万円)

2016年:1,642

2017年:1,757

2018年:1,131

2019年:979

2020年:1,538

当期利益推移

(単位:百万円)

2016年:1,108

2017年:1,169

2018年:757

2019年:713

2020年:1,108

ROE推移

(単位:%)

2016年:11.2

2017年:10.7

2018年:6.5

2019年:5.9

2020年:8.5

有利子負債推移

(単位:百万円)

2016年:652

2017年:494

2018年:439

2019年:664

2020年:416

現金等推移

(単位:百万円)

2016年:3,301

2017年:3,429

2018年:1,711

2019年:1,535

2020年:3,717

キャッシュフロー推移

営業活動のキャッシュフロー

(単位:百万円)

2016年:1,425

2017年:784

2018年:-706

2019年:380

2020年:2,668

投資活動のキャッシュフロー

(単位:百万円)

2016年:-66

2017年:-324

2018年:-773

2019年:-645

2020年:-100

財務活動のキャッシュフロー

(単位:百万円)

2016年:-479

2017年:-332

2018年:-237

2019年:88

2020年:-385

フリーキャッシュフロー

(単位:百万円)

2016年:1,359

2017年:459

2018年:-1,480

2019年:-264

2020年:2,568

大伸化学、何をやっている会社か。

多くの人が聞いたことがないと思うが、割安度と事業の安定性から注目していた割安株、大伸化学株式会社を紹介します。

事業内容としてポイントは、以下の通り

・有機溶剤のブレンド(シンナー)を専門とするメーカーで、約20,000種類製造販売、多品種生産体制

・売上の40%程が、塗料・塗装向け単一溶剤類、塗料業界向けがメインの顧客となる。次が印刷用で20%弱

・受注生産による即納体制が売り

・全国に約900社の販売代理店をもち、業界随一の規模の販売ネットワーク

大伸化学、成長ストーリーが描けるか。

ポイントとしては以下の通り、

・塗料の業界自体は成熟した産業と位置付けられる。

・高度成長期に建てられた公共施設や建物の老朽化に伴う建て替えや更新による需要があるのではないか。

・国土交通省「公共建築物の老朽化対策に係る事例集」(http://www.mlit.go.jp/gobuild/gobuild_tk2_000012.html)によると、建築物の経年別の延床面積は30年以上が40%以上を占める。

・環境に配慮した動きの強まりとともに、新製品の開発や環境配慮のための製品需要が増える可能性はありる。

・他業界への参入、電子材料用途向けの溶剤供給など。

過去の実績から、大伸化学の経営は堅実であるか。


出典:当社HPより

過去の売上は減少しているが、営業利益は伸びています。

原油・ナフサ市況の影響が強く、販売単価が下がったため売上は減ったが、原価自体がそれより増して下がったため、結果的に利益が積み上がったと考えられる。

大伸化学、財務は健全で余裕はあるか。

平成30年3月期 第3四半期決算短信より、

(単位千円)

現金及び預金 2,822,189

投資その他の資産1,336,739

短期借入金 300,000

1年内償還予定の社債 70,000

1年内返済予定の長期借入金 111,250

社債 105,000

長期借入金 70,000

有利子負債合計が約6.5億、現金同等が28億、投資その他の資産の項目のその他に13億。

キャッシュは十分余裕があり、キャッシュリッチな会社である。

大伸化学のビジネスモデルに優位性はあるか。

全国販売網、即納体制が構築されている点

多品種少量生産体制で多様な顧客の要望に対応

・1952年創業以来、混合溶剤(シンナー)の製造一筋で、経験、ノウハウがある。

以上のポイントが当社の優位性であると考える。

成長への継続的投資を実施しているか。

前期の有価証券報告書をみる限り、投資キャッシュフローは約3億円、内訳としては、東日本の越谷工場の設備投資があったことが分かる。過去を遡っても、定期的に投資を実施していることが窺える。

研究開発費は、総額87百万円を計上している。売上、当期利益に対して飛び抜けて高い割合ではない。既存製品の改良がメインだと思われる。

新製品の開発に関しては、電子材料向け溶剤供給を目指している模様。

優秀な経営陣はいるか。

経歴:

代表取締役社長

杉浦久毅

昭和51年4月 当社入社

平成6年4月 当社名古屋営業所長

平成9年4月 当社名古屋支店長

平成13年6月 当社取締役営業本部長兼第一営業部長就任

平成14年7月 当社取締役営業本部長就任

平成16年6月 当社常務取締役営業本部長就任

平成21年6月 当社代表取締役社長就任(現任)関東塗料工業組合理事就任(現任)

インタビュー記事なし、新卒から当社一筋の人であることがわかる、また営業畑出身。

大伸化学の株価は割安であるか。

時価総額(百万円)            6,888百万円

PER(株価収益率)(倍)     5.83倍

PBR(株価純資産倍率)(倍) 0.63倍

ROE(自己資本利益率)(%) 11.30%

キャッシュリッチで、売上、利益ともに安定している企業の割に、時価総額70億前後を推移、PERは6倍割れ、PBRは1倍割れとかなり割安。

分析コメント

良い点

幅広い業界向けに製品提供しているため経営は安定

・全国に販売網を持ち、即納体制があるので、強固な参入障壁あり

キャッシュリッチで、現時点株価はかなり割安

・建物、インフラの更新需要で伸びる可能性あり

・長期で利益は積み上がり、割安度は増す

懸念点

・塗料業界自体が成熟市場

特別な成長ストーリーは描きにくい

ナフサ・原油価格の影響をダイレクトに受ける

テンバガー可能性

「D」評価です。

塗料用の素材をテーマとしたメーカーで、少しニッチすぎる領域なので、人気化することはほとんどないと考えられます。業績は安定して推移しているので、利益が積み上がっていくとともに少しずつ株価は上昇するとは思われますが、テンバガーとなるとは考えにくい銘柄ではないでしょうか。

※「S」、「A」、「B」、「C」、「D」の5段階で勝手に評価した場合です。

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関連記事:SBI証券のスクリーニング指標一覧、機能の使い方

関連記事:小型株・成長株、銘柄一覧まとめ【日本の有望銘柄80社をブログで紹介】

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関連記事:株式投資の本質を勉強するためのおすすめ書籍10冊

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