転職活動で失敗しない、就職先のミスマッチを回避するための方法を紹介
- 2018.08.10
- 自己啓発
本記事はこれから転職を考えている、もしくは転職活動を始めた人、将来的に転職を考えている人に読んでもらえればと思う。
個人的な経験、ヒアリングを通じて、転職活動の実態をお伝えします。読者の中に一人でも、何らかの形でもアクションに繋がれば、嬉しい限りです。
大きなキャリアの方向性や伸びる業界、分野については過去記事を参考にしていただければと思う。
関連記事:職業、仕事の決め方がわからない人向け、将来性ある職業、進路の選び方
- 1. 転職活動のプロセスを細かく分解してみる。
- 2. 自己分析、転職を考え始めた時期にやるべきこと
- 3. 転職活動で、次の職場を効率的に探すためにリサーチ方法
- 4. 転職エージェントが紹介してくる案件には注意が必要
- 5. 転職の判断軸を確立する。自己の掘り下げ、軸の設定
- 6. 自己分析、自分を知るためのオススメの方法、16 personalities
- 7. 転職面談に向けての心構え、準備
- 8. 転職面談をする会社について、求職者が見るべきポイント
- 9. 成長性、将来性について見るべきポイント
- 10. 転職先の社風、労働環境について見るべきポイント
- 11. 経営陣の見るべきポイント
- 12. 従業員の見るべきポイント
- 13. 転職先の第三者からの評判
- 14. 財務状況について
- 15. 本当に求めている人物像、役割について
転職活動のプロセスを細かく分解してみる。
転職から望ましい仕事にたどり着くまでのステップを分解してみた。あなたはどこのステップに該当するだろうか。
STEP1 転職を考え始めた時期(モヤモヤ期)
STEP2 次の職場を探すためにリサーチを始める(情報収集段階)
STEP 3 自己の掘り下げ、軸の設定 (己との対話)
STEP 4 初めての他社との接触(社外との接触の開始)
STEP 5 内定を得て、選択肢を検討(初めての内定と、選択肢の比較)
STEP 6 一社に絞り、意思決定をする(最終決定)
STEP 7 社内に退職の意向を伝える(退職のプロセス)
STEP 8 次の職場で働き始める(新天地での勤務開始)
STEP 9 順調かどうか、チェックする(新天地での再検討)
自己分析、転職を考え始めた時期にやるべきこと
この時期は、転職という選択肢を微かに考え始める時期である。
きっかけは様々。「同僚が転職した」、「他社の人の話を聞いて刺激を受けた」、「自分の夢を再認識して、その道に突き進むことを決めた」、「社内での環境が耐えられない、上司が嫌い」など。
この時期に重要なことは、己を知るということである。
なぜ、転職という選択肢が浮かび上がってきたのか、自分は何を求めているのか、再度考える時期に来たのである。
このプロセスはキャリアにおいてはかなり重要な段階で、疎かにしてはいけない。
このモヤモヤ感の正体を突き止めることで、自分自身を知ることができると共に、次のステップに進めることができるからだ。
転職を必ずしも前向きに考えていない人であっても、モヤモヤは解消するべきである。
そうすることによって、今の目の前の仕事に対して集中できる、目標を再確認できる、など、客観的に自分自身と対話ができるからである。
さて、この段階で、自分に聞いてみてほしいのは以下の問いである。
問い:なぜ転職を考え始めたのか、そのきっかけは何か。
今、目の前の仕事に集中ができない、どう考えてもモヤモヤが解消できないという場合には、ある程度自分の中で頭が整理できたら、次の具体的な転職に向けたアクションに進むべきである。
結局のところ行動でしか悩みは解消できないので、何らかのアクションをするという意思決定を下した上で、社外にどのような選択肢があるのかを把握することはできる。
一方で、転職を考えたのが、何らかの理由で感情的で一時的なものであって、このまま仕事を続けることが自分にとって最適だと納得ができることもある。
この場合は改めて目の前の仕事に集中し、転職という考え方は一旦頭の中から外すという選択肢も出てくる。
最悪なのは、モヤモヤが続いた状態で、転職しようか、どうしようかと悩んでいる状態で、なんのアクションも取らずに、目の前の仕事に集中できないという状態である。
これは、個人にとっても時間の無駄であり、企業にとっても迷惑そのものである。仕事は労働という義務を全うした上で、対価として給料をもらっているということを忘れてはいけない。
仕事は仕事と割り切った上で全力で取り掛かり、転職活動は仕事の時間外にすること、目の前の仕事は完全にこなすことを徹底した方が本人にとっても、周りにとっても重要なことである。
転職活動で、次の職場を効率的に探すためにリサーチ方法
とりあえず、転職の可能性を模索してみること自体は、自分の市場価値を知る、他の選択肢を知り視野を広げるという意味ではとても有効だと思っている。
閉じられた社内という環境の中では、例えば以下のようなことを理解できない。社外と触れることによって以下のことが理解できる。
・どのような仕事があるのか
・どのような働き方があるのか
・どのような分野に自分は興味を持つか
・自分の価値がどの程度評価されるのか
・どのような職種にニーズがあるのか
・伸びているマーケットはどのようなマーケットか
・今の仕事の環境や待遇はマーケットと比較してどうか
リサーチの方法は、1. 転職サイトに登録する、2. 求人サイトから仕事をリサーチする、3. 企業を自ら探す、4. 知人・友人に紹介を依頼する、に大別される。
転職サイトとしては、ハイクラス向けではビズリーチや、キャリアカバー、JACリクルートメント、など登録しておけば良い。
求人サイトからの検索では、Indeed、スタートアップ関連では、Wantedly、ベンチャー転職のアマテラスがお勧めである。
面白そうな企業を自分から探す場合は、もちろん求人サイトや転職サイトで検索をかけるという方法もあるが、Google検索で、「産業名+スタートアップ」で探す方法もある。
Start UP DBなどのスタートアップデータベースで、創業されたばかりの企業を探すという方法もある。
業界ごとに面白そうなスタートアップをリストアップするのも一つの方法である。
関連記事:2018年度、日本、医療・介護・ヘルスケア分野、注目のスタートアップ18社まとめ
少しイレギュラーなのは、ベンチャーキャピタルのポートフォリオから面白そうな企業を探すという方法である。
日本には数多くのVCがあるが、ベンチャーキャピタルのポートフォリオは産業ごとにまとめられていて、面白そうな企業があれば直接応募してしまっても良い。
ベンチャーキャピタル自体にコンタクトをとって、投資先で採用ニーズがあるところはないかと問い合わせするのも一つの方法である。
最後に、知人・友人の紹介に関しては、気心知れた人がいればの話である。
転職前にはあまり社内に知られない方が良いので、秘密を守ってくれる人、信頼できる人がいれば、こっそり相談してみよう。求人が出ていない優良案件が出ていたりする。
転職エージェントが紹介してくる案件には注意が必要
彼らの中にも、もちろん信念を持って応募者の将来やニーズにマッチするような案件を紹介してくれるエージェントもいる。
しかし残念ながら、一部の転職エージェントは、いかに効率的にマッチングさせるかを考えるため、そこまで深く考えずに、多くの案件を紹介れるケースがある。
転職エージェントをタイプ別に分けると、
・とにかく案件を多数紹介して、量で確率を上げるタイプ(数打ちゃ当たるタイプ)60%
・応募者の話を親身に聞いて、相談しながら企業を探してくれるタイプ(求職者優先)10%
・特定の業界や個別企業に特化したタイプ(特化型)15%
・経営陣との関係性が良く、経営者から直で依頼を受けているタイプ(経営者案件)15%
私の印象だと、マーケットにいるエージェントの割合は以上の通りである。
転職エージェントタイプ1. 数打ちゃ当たるタイプ
多くのエージェントは日々多数の求職者とやり取りをしているため、どうしてもオペレーショナルになりがちである。
これは仕方のないことで彼らもビジネスとして、いかに効率的に売上を伸ばすかということが最重要項目であるからである。
そのため、色々求職者のニーズは聞きつつも、案件紹介はニーズとマッチしないような求人も含まれた案件を紹介されるケースが多い。
このようなエージェントは求人情報を知るという意味では良いが、親身になって相談は乗ってくれないだろうし、レア案件もあまり持ち合わせていない。
転職エージェントタイプ2. 求職者優先タイプ
次に、求職者優先タイプのエージェントであるが、これはかなりレアで、このような人に会ったら、ぜひコンタクトは取っておいた方が良い。
もともと世話焼きであったり、人材紹介という仕事に信念を持って取り掛かっている人が、レアではあるが一部いる。
ただし、ここは見極めがすごく難しい。
親身に相談に乗ってはくれるものの、案件を持ち合わせていなかったり、業界のことを良く理解していないのでは話にならない。
総合的にみて、この人ならと思える人がいれば信頼して、相談するのが良い。
転職エージェントタイプ3. 特化型タイプ
特化型タイプに関しては、かなり筋の良い案件を紹介してくれるケースが多い、かつ業界について詳しいので内情についても良く理解した上で情報をシェアしてくれる。
このタイプのエージェントからはいろんな情報を提供してもらえるので、素直に相談にのるのが良いと思う。
転職エージェントタイプ4. 経営者案件タイプ
最後に経営陣から直で依頼を受けているケースであるが、このようなエージェントもごく稀にいる。
何らかの形で採用以外のこともアドバイス契約という形で契約を結んでおり、社内の実態についても良く理解しているタイプである。
他のエージェントが持っていないような希少な案件を持っていることがあり、かつビジネスについても経験が豊富な人が多いので、相談する相手としては良い。
注意点としては、顧客を優先する傾向があるので、客観的に悪い面に関しては、シェアしてくれなかったり、やたらと個別企業を推奨されるケースがある。
ここまで、実際に行動を起こした人はすでにある程度の会社、エージェントからコンタクトが来ているはずだ。
その中から、信頼できそうなエージェント、興味のある会社を選定するプロセスに入る。
この際に重要なのは、自分の中での軸を予め、ざっくりとでも良いので定めておくということである。次のステップで詳細を紹介する。
転職の判断軸を確立する。自己の掘り下げ、軸の設定
あなたが次の職場に求めているのは何か、一度立ち止まって考えてもらいたい。
いろんな情報が溢れているので、様々な外部の影響を受けてしまうが、自分の心に素直に聞いてみてほしい。
自分が本当に大切にしている価値観何か。
ここがズレてしまうと転職はなかなか上手くいかない。
具体的な例で見てみよう。
田中さんは、現在の職場に慣れてしまい成長を実感できずにいた。
そこで転職を探すことにする。エージェントからコンタクトがあり、求人内容を見ると、現職よりも50%程度高い給与で提示されている。
今まで自分の市場価値を知らなかったので、驚きと同時に嬉しさが込み上げてきた。
その後、もっと高い条件で提示してくれるところを探して、最終的に一番高いオファーを提示してくれる会社からオファーをもらった。
給与が上がることになったので、妻を含め、家族など周囲も応援してくれることとなった。
そして、新たな会社で働き始めた。最初の1週間は研修で会社の雰囲気を見ることを優先していた。
すると、オファーを受ける前、抱いていたイメージとかなり異なることが明らかになってきた。
自分が話をしたのは、会社の役員で、現場社員がどのような人たちなのか、企業文化は何かということを理解せずに意思決定をしてしまったからだ。
会社の従業員は、会社から設定された高い目標を達成できるとは思っておらず、やる気を持っていない状態であり、目標達成の意欲そのものがなくなっていた。
労働環境も思ったよりもハードワークで、深夜まで残業が当たり前で、先に帰れる雰囲気でもない。
結局、条件は良かったが、この環境でずっと働くことが、自分にとって成長に結びつくとは思えず、試用期間で辞めることを決めた。
これはただの一例だが、最初の転職のきっかけは自己成長の実感の無さだったはずの田中さんが、転職活動を進めていくうちに、待遇の良さを最重要項目と考えてしまい、自分がもっとも大切と思っていた価値観、転職の際の軸を見失っていたことが問題の根幹にある。
自分は大丈夫だと思っている人は多いと思うが、この自己の掘り下げ、軸の設定、優先付け、良い意味での諦めが、できていないと転職は上手くいかない。
全てを満たすパーフェクトな職場はないと考えた方が良い。
何かを犠牲にして、何を得るのか、それを理解するための優先順位付けがしっかりでき、相対的に満足できる環境を探さなければいけない。
自己分析、自分を知るためのオススメの方法、16 personalities
自分を知るといってもどうやって知ることができるのか、本項目では、その方法論を考え、紹介する。
自分の強み、弱み、やりたいことなどを紙に書き出すというのも一つの方法だろう。
しかし、この方法ではどうしてもこれまでの経験に基づくバイアスや、自分自身が知らなかった側面の発見などに限界がある。
次に、他人、友人や家族に自分自身の性格や強みや弱みについて聞いてみるという方法もある。
これは第三者から見た客観的なアドバイスがもらえるためオススメである。
友人に関しては、本人を傷つけたくない、などというバイアスがかかってしまうため、本当に意見を言い合える、もしくは厳しいことを言ってくれる人にアドバイスをもらうのが良い。
家族に関しては、子供の頃から自分を知っている親に話を聞いてみるのが良い。
自分はどういう子供だったのか、小さ頃どういうことが好きで、どういうことが嫌いだったかなど、生い立ちを聞いてみると良い。
そうすると、自分自身がどいう子供だったのかという新たな発見がある。
最後にもっとも客観的にかつ、リサーチに基づいた診断テストが海外発である。
これは 16personalities と呼ばれる無料性格診断テストで、全世界でデータを集め、それに基づいたタイプ別の強み、弱み、性格、特徴、キャリア、恋愛についてなど、様々なアドバイスがある。
私がこれを知ったきっかけは、世界最大のファンドであるレイ・ダリオ氏が著書(Principles: Life and Work)の中で、人を採用する際や人材の配置をする際に、科学的に診断テストを活用している。
著書の内容は、別記事にまとめてあるので気になる人は確認してほしい。
関連記事:レイ・ダリオの本 Principles: Life and Work (人生と仕事における原理)
彼らの企業では、診断テストの一部で16 personalitiesを活用していることが分かったからだ。
レイ・ダリオ氏は会社を経営する中で、人材マネジメントの難しさに悩まされ、科学的に基づく人材マネジメントの最適化を求めている。
基本的な彼の考え方は、性格や気質というものは変わらないものであり、それぞれが最適な役割で力を発揮するためには、各人の性格、気質を把握することが重要ということを理解し、診断テストを実施している。
ぜひ、16 personalities のテストを受けていただき、自分がどのようなタイプで、これまでの経験を振り返って照らし合わせてみてほしい。
確かに診断テストの通りだと思う部分もあれば、この点は違うなと思う点があるかもしれない。
特に自分が思っている自己像と違うなと思ったら、そこは重要なポイントである。それこそが己自身のバイアスが掛かっている項目であることがあるからだ。
例えば、自分は人前に立つのが苦手で内向的だと思っていた人が、実は人と会うことは好きで外向的な性格であることが分かったりする。
自分は分析でロジカルだと思っていた人が実は感覚や感情をとても大切にしていることが分かったりなど、新たな発見がある。
自分の気質とギャップがある仕事をしている人は、最大限の力を発揮できていない可能性がある。
人前に出ることが苦手、一人で仕事をすることが好きな人が、大きな組織で営業として働いていたりする。
逆にチームで働き、サポートすることにやりがいを感じる人が、個人の裁量が大きい個人プレーの組織で働いていたりする。
ただし、この診断テストは必ずしも全てが当てはまるわけではないので、参考程度にしよう。
ちなみに私は、一人で仕事をすることが好きで、物事を改善したり問題解決をすることに喜びを感じるタイプである。
投資や記事を書くのが好きなのも、このタイプであるからだと思う。振り返ってみれば、組織で仕事するよりも一人で仕事をしていた方が楽しいケースが多かったような気がする。
こんな感じで、個々人が新たな自分を発見して、前進してくれると素晴らしいことだと思う。
転職面談に向けての心構え、準備
情報収集の方法、自己分析、エージェントの見極め方を紹介してきた。
今回は、実際に会社との面談、最初の接触について、より実りある面談とするための方法を考察していきた。
転職を決意して、情報収集をすると、これまで知らなかった数多くの会社が存在することが分かる。
その中で最適な会社を全てしらみ潰しに調べることなど不可能であることをまずは認識する必要がある。
また、転職を始めた段階から、明確な会社選択の軸や、特定の拘りがないのであれば、幅広く会社との接触は持つべきだと考えている。
それを通じて、業界のインサイトや会社ごとの異なるカラーや、求めてられている人材像を把握できる。
何より、色んな人と知り合い知見を広げておくことにデメリットはない。
時間の許す限り幅広い会社と、会社の人とは会っておいて損はない。
むしろ、会社名に対する偏見や、業界に対する偏見が強すぎて、選択肢を狭めることは自身にとって成長の機会と将来の可能性を潰していることになるので、考え方を改めた方が良い。
では具体的に面談で求職者が見るべきポイントや、会社側が何をみているのかを考察していこうと思う。
転職面談をする会社について、求職者が見るべきポイント
これまでの経験から、会社の見るべきポイントについて解説していきたい。
カテゴリー別に分けると下記に分けられる。これは、株式投資で、会社を分析するべきポイントとも通じることがあるので、以下関連記事を参考にしていただければと思う。
関連記事:長期投資の銘柄選択術、具体的なやり方を基本戦略を紹介
・成長性
・社風、労働環境
・経営陣
・従業員
・第三者からの会社の評判
・財務状況
・求めている人材像、役割
成長性、将来性について見るべきポイント
会社の成長性、将来性は特に重要である。
圧倒的に成長している人材や世の中で求められている人材は、往往にしてキャリアの早い段階で成長産業に身を置き、企業の成長とともに個人の成長も実現している。
これは私個人の経験上、多くの人材を見ていく中でほぼ定説となっている。
ごぐ例外的に、衰退産業の中でもニッチな領域で成長させているパターンや、再生事業などのターンアラウンドで成果をあげている人もいるにはいる。
しかし、確率的には前者の方が圧倒的に高い、かつ後者の成功例を掴むのは難易度が相当高く、ある程度の業界経験が求められるので、当てはまる読者は少ないだろう。
したがって、成長性、将来性を見極めるのは、最優先ポイントとしたい。
では具体的にどのように見極めるべきか。わかり易く、具体的な事例に基づいて、例を紹介しようと思う。
田中さんは、転職サイトでA社からの連絡があった。面談の依頼があったので、物は試しと偏見を持たずに面談をセットすることにした。
A社については名前も全く知らなかったので、面談の前に調べておこうとGoogleでA社のホームページを見た。
田中さんは、まずA社が属する業界いついて理解しようと進めた。
A社は、写真や動画コンテンツを一般ユーザーから集め、WEB上でコンテンツとして公開し、ユーザーから課金するサービスがメインの会社である。
創業から年数が経っておらず、比較的若い会社であり、売上は右肩上がりで伸びている。
上場企業であったので、IR情報から、比較的分かりやすい決算資料のプレゼン資料を見ることとした。
分かり易くビジネスモデルと今後の将来性について書かれている。
WEBのコンテンツの成長から、有料の写真素材は伸びており、副業の流れから写真提供者も増えていることがわかった。
何より、WEBビジネスとして、データ収集が済み、集客が仕組み化できれば、かなり高い利益率が維持できるストックビジネスであることが理解できたので、将来性がとても高い会社であることが理解できた。
成長戦略としては、日本のマーケットに止まらず、台湾、韓国、ASEAN諸国への進出も始めている。
新規事業も、カメラマンの出張サービスを数年前から始めており、すでに軌道に乗り始めている。
業界動向、実績を見ても成長性のある企業であることが理解できた。これは期待が持てそうだ。
そして、田中さんは経営者との面談の際に、既にビジネスモデルの理解が深まっていたため、追加で、成長性に関する細かい質問ができた。
以上が具体的な例である。これは、既に気づいている人はいるかもしれないが、本ブログで紹介した、ピクスタ 社を例に挙げている。
関連記事:ピクスタ株式会社、ブログで企業分析 (3416)|株価、売上、将来性チェック
この例では、上場企業であるので具体的な情報が公開するので、楽である。
では、非上場の企業ではどうすれば良いのか。こればかりはホームページから現状を把握するのは困難であるので、代替方法として以下が挙げられる。
会社が属する業界を特定して、Googleで、「業界名+動向」などで一般的な業界動向を理解し、「業界名+企業一覧」などで競合企業について調査する。
同じ業界で、他社で上場している企業があれば、詳しい動向が理解できる場合がある。
全くの新しい業界や、公開情報が少ない場合は、面談時に聞くしかない。
その際は事前に聞きたい項目について理解をしておく必要があるが、業界動向、競合の状況、自社の強み、将来の展望、など基本的なところについては、会社側から情報を引き出そう。
具体的な質問が分からない場合は、以下ポイントをまとめた。
1. 事業内容についての質問、何をやっている会社か
2. どのような成長ストーリーを会社は描いているか
3. 経営の実績について、売上、利益の状況について
4. 資金調達は実施済みか、投資元はどこか
5. 当社のビジネスモデルの優位性はどこにあるのか
6. 成長に向けて何を投資を継続的に行なっているか
7. 経営者はどんな人か
以上について質問ができれば、全体的に会社についての理解はかなり深まっていると思う。
こうやって考えると株式投資と、転職の際の企業のチェックについては似通っているポイントはあるかもしれない。
転職先の社風、労働環境について見るべきポイント
社風、労働環境は、求職者にとって、分かりにくいポイントであり、ミスマッチが生じやすいので、ここは注意してチェックしたい。
これについての理想的な答えとしては一定期間、一緒に働いてみるということがある。
社会人インターンのような形で、働かせてもらう、もしくは会社の中を覗かせてもらうだけでも効果はある。
オフィスと、面談スペースとでは雰囲気は全く異なるので、執務スペースを必ず見せてもらう。
すると、想像していたものと違うことが分かったりする。
例えば、面談中はとても勢いがあり、活気のある会社と思っていたら、執務スペースはどんよりとしていて、会話もあまり無い状態だった。
もしくはその逆で、面談中はあまり勢いが無い印象だったが、執務スペースは社員が動き回り、立ちながらのミーティングなどを実施していてとても活気があったりする。
社会人インターンに関しては、仕事中であれば難しいと思うが、本気で検討しているのであれば、無償でも良いので働かせて欲しいと依頼してみよう。
一定期間であれば、これまで知り得なかった社風や働き方について理解が深まるはずだ。
労働環境に関しては、社員の労働時間について分かりやすいので注目しよう。
大体何時ごろまで働く社員が多いのか、採用担当者は、採用したいニーズがあるので、実態よりも緩めに伝える傾向があるが、実態を知りたいので教えて欲しいと伝えてみよう。
遅い社員は終電まで働いていることがあるということが分かれば、恒常的に勤務時間が長い社風である可能性がある。
特に経営者が遅くまで働いている場合は、従業員も遅くまで働いていることがあるので注意がある必要がある。
明確に時短制度を実施していて、経営者が率先して早く帰宅している会社は、実際に時短労働を実施している傾向が強い。
経営陣の見るべきポイント
スタートアップやベンチャーであれば、会社経営陣との面談は初回から可能であるが、中小以上、大手になるとなかなか難しい。
できることなら早い段階で経営陣と触れておいた方が良い。
彼らが会社の方向性、社風、人事など全てをコントロールするので、お飾り経営者でない限りは、どのような会社かを理解する上では最重要となる。
経営者との面談となると、緊張しがちであるが、ここは素直に色々と考え方について、人となりについて聞いてみると良い。
特に人となりや、価値観についての理解が重要であるので、会社のビジョンやミッションについての考え方を中心に、経営者個人のバックグラウンドについての質問をするなど、多角的に経営者の人となりや価値観を理解しよう。
具体的な質問としては以下が挙げられる。
・なぜ、今の会社に入ったのか、もしくは創業したのか。
(事前調査は必須、経営者の名前+インタビューでインタビュー記事は読んでおこう)
・これまでの経歴を教えて欲しい。
(会話の中でやんわりと過去どのような会社で何をしたのかを聞いてみよう。それを通じて、どのような価値観が形成されてきたのかが分かる)
・何を成し遂げたいと考えているか、今後の会社のビジョンについて教えて欲しい。
(どれだけ明確に、そして楽しそうに話せているかをチェックしてほしい、あまり語れない場合は熱意がない可能性がある)
・今後、会社を成長させていく上で、どのような活動領域が一番重要と考えているか。成長戦略について教えて欲しい。
(会社の成長戦略の理解と、どの領域を一番重要視しているかの理解が深まる)
・どのような人と一緒に働きたいと思うか、どのような人とは一緒に働きたくないと思うか。
(一緒に働きたい人は、比較的一般的な質問だが、ここでは働きたくない人についての理解も深める、求めている人材の軸や社風が理解できる)
・会社の成長が止まるとしたら、何が主な原因と考えられるか。
(将来のボトルネックについて、最も大きな課題がここにあると考えられる、例:エンジニアの採用が止まる、大手競合の参入などで価格競争が始まる等)
以上は一例だが、個々人で転職において重要だと思う軸があるのであれば、それに関連する質問を考えよう。
例えば、制約がありコントロールされる環境が嫌いであれば、どのような働き方が最も生産性が高いと考えているかや、従業員の生産性をあげる取りくみで行なっていることはあるか、などの質問を考える。
注意点は、ダイレクトに考えた質問を投げかけないということである。
あまりに準備周到でこちらから質問ばかりすると、警戒されるばかりか、コミニュケーションに問題があると捉えられかねない。
自然の会話の中で、質問をすることを常に意識して欲しい。ベースとしては面談を楽しむこと、自分自身も面談を通じて学ぶということを意識しよう。
従業員の見るべきポイント
面談は大抵、採用担当者か事業部のトップ、もしくは経営者に大別される。
ここで面談を担当する社員は採用活動に近い人か、経営に近い人材である。
しかし、注意しなければいけないのは、あなたが入社後に一緒に働くのは、その他大勢のメンバークラスの従業員である。
スタートアップであれば、人数も少ないので、経営者と一緒に仕事をする機会は増えるが、中小企業以上クラスの会社であれば、経営者との距離はどうしても大きくなる。
採用担当者からすれば、良い人はすぐにでも採用をしたい、採用の確率を上げたい=実績に繋がる、ので優秀な社員を紹介して、まずは求職者を引き止めておきたいと考える。
そのため、本当に一緒に現場で働く社員との面談の機会はあまりない可能性がある。
したがって、こちらから「可能であれば、実際に一緒に働くこととなるチーム、メンバークラスの人と1対1で話がしたい」とお願いしよう。
ここで紹介されるメンバークラスも、相対的には優秀な人材であることは間違いないが、どのような人と一緒に働く可能性があるかの把握を進めるという意味では、面談機会を設定しないよりはマシである。
メンバークラスの人との面談の時も、カジュアルに面談をするように心掛けよう、堅苦しい雰囲気ではあまり本音を引き出すことはできない。質問項目としては以下が考えられる。
・普段、どのような働き方をしているか。(労働環境や、働き方が理解できる)
・今、どのような業務に携わっているか。(どのような仕事に携わっているかを理解できる、入社後の仕事内容についてイメージが深まる)
・現時点の会社に対しての課題意識はどこにあるか、変えたいと思っていることなど。(メンバークラスでの課題意識が理解できる、経営者とは違う視点で物事を捉えることが可能)
・この会社でどのようなことを成し遂げたいか、ビジョンについて(働く人の熱量を理解できる、ここが明確にすぐに出てくる組織は強いし、個人の熱量も高いと考えられる)
以上は一例である。よくありがちなのが、経営者はとても魅力的で、ビジョナリーだが、従業員は全くビジョンがなく、熱量も少ないというギャップである。
経営者と従業員が一体となって初めて組織は成長するので、ここのギャップはないかを確認することはとても重要である。
もちろん、経営者と従業員で熱量は異なることは当たり前だが、理想的には従業員クラスでも会社のビジョン、ミッションが浸透して、熱量が高いことが望ましい。
転職先の第三者からの評判
優先すべきは、実際の面談や会社訪問時の感覚であるが、それでもよく分からないという場合には、ネットに転がっている会社の評判、評価について情報を集めてみよう。
以下は参考サイトであるので紹介する。
・Vorkers 「社員による会社評価」 就職・転職クチコミ
・【転職会議】企業の評判から求人までわかる転職クチコミサイト
・会社の評判、口コミ、年収から転職・就職情報まで分かる|カイシャの評判
ここで注意しなければいけないのは、評価の信憑性についてである。ここで口コミを書いている人は、何らかの理由で会社を去った人であり、偏った意見で悪い評価をしている人も一部いることを理解しよう。
ただし、明らかに悪い評価の数が多かったり、著しく評価が低い場合は何らかの理由があると疑って問題がないと思っている。
火のないところに煙は立たぬ、ではないが、何らかの問題を抱えている可能性が高い。一度は目を通しておいた方が良いだろう。
ここも何を転職の軸とするかである。
成長スピードを最優先とするのであれば、労働時間や労働環境は度外視して、圧倒的にスピードできる、少しブラックな企業で働くこともありだし、ワークライフバランスを重視したいのであれば、働きやすさを重視して、会社の評価を調べよう。
財務状況について
上場企業の場合は、IRのページから、自己資本比率、有利子負債比率はチェックしておこう。自己資本比率の目安としては40%、50%以上であれば優良企業と考えて問題ない。
有利子負債比率の目安としては、50%以下であることが望ましい、少なければ少ないほど良い。
ただし、ソフトバンクのような成長企業の場合は、将来の布石のために投資を積極的に実施しているケースもあるので、企業の実態を把握した上で検討しよう。
あまりにも負債が多いなど、財務状況が怪しい場合は、原因について疑った方が良い。
マーケットの動向や競争環境による外部環境の影響なのか、事業活動などの内部活動が原因で負債を増やしたのか、原因が特定できれば、面談では分からなかった、会社が抱える問題点が浮き彫りになってくる。
数字は嘘をつかないので、数字で怪しいと思った点に関しては、原因を突き止めてみよう。
経営者に質問してみるのも良い。それを正しく認識して、背景を説明してくれるか、うやむやにされるかで、経営の姿勢も理解できる。
次に、非上場企業の場合について、財務状況の調べ方は基本的に調べることができない。
そのため、「会社名+資金調達」でGoogle検索をしてみよう。資金調達のニュースが出ているので、どこからいくら調達しているかが理解できる。
資金調達の実施が直近で、ある程度の纏まった額が調達できているのであれば、当面の事業活動資金に心配はない。
一方で、資金調達がかなり以前の場合や、最初の資金調達以降、追加調達が進んでいない場合は、何らかの理由がある可能性があるので、チェックしておこう。
良い意味では、手元資金で事業を伸ばすことができているので、外部資金の調達の必要ない、もしくは金融機関からの借り入という形で情報公開をせずに資金調達をしている可能性がある。
一番分かりやすいのは、経営者に資金調達について質問してみるのが良い。
色々な考え方が分かる。例えば、株主にとやかく口出しされてくないので、自己資金でやっている、金融機関から借入をしている場合、など経営者の考え方が分かる。
本当に求めている人物像、役割について
さて、ここは重要なポイントである。会社側が求めている人材と、自分が会社に貢献できること、自分が会社に求めている要素がマッチするかの見極めである。
ミスマッチを無くすためには、この点を慎重にしなければいけない。
そういう意味では、自分は何ができて、何ができないかということを明確に開示してしまった方が良い。
変に飾って、自分を大きく見せるよりも、等身大の自分を伝えた上で、それを踏まえて合うか、合わないかを判断してもらった方が、長期的にはお互いにとって良い。
これは結婚と一緒の考え方であり、お互いの価値観や、考え方、求めているものを開示した上で、一緒に生きていくことを決める。
お互いの自己開示をした方が双方にとっては良い。結婚した後に、知らなかった一面が出てきて、これは話と違うとなり、離婚してしまうケースは多々ある。
まずは自分自身がオープンになって、自分という個人を理解してもらうことを大切にし、会社側にもオープンな姿勢になってもらうような質問をしよう。
本当に従業員を大切にする会社は、このステップにかなり時間をかける。
そもそもミスマッチ自体が双方にとってコストとなるので、価値観や求めている人材のすり合わせには、本来最も時間をかけるべきところである。
そうでない会社は、大量に採用して「数打ちゃ当たる」の考え方で経営をしている可能性がある。
もしくは、求めている人材も、誰でも代替可能なポジションでしか採用していないかもしれない。
面倒なステップと思われるが、この点は特に時間をかけてすり合わせをしよう。
本当に従業員を大切にする会社は、時間をかけてくれるはずである。そういう意味では、このステップで会社のスタンスを確認できる。
以下は、具体的な質問例である。
・御社で今、求めている人材像で、どんな人材ですか。
・こういう人は、御社に合わない、もしくは過去採用してミスマッチが生じた事例を教えて欲しい
・御社で成果を上げている人材の特徴は何かあるか。
・ポジションの役割として、期待しているところはどんなことか。具体的に教えて欲しい
・自分の強みは・・・で、自分の伸ばしていかなければいけない点は・・・という点です、それを踏まえた上でも役割にマッチしていると考えるか。
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