「読みたいことを、書けばいい。」人生が変わるシンプルな文章術 、書評、若者必見

「あなたはゴリラですか」
そんな衝撃的な一文からこの本は始まる。

田中泰延ってどんな人？

本の著者は、広告会社の株式会社電通で24年間コピーライターとして活動し、2016年の退職後「青年失業家」と自称し、フリーランスで執筆活動をする田中泰延氏。Webサイト「街角のクリエイティブ」に連載する映画評「田中泰延のエンタメ新党」「ひろのぶ雑記」の他、数々の人気コラムや連載記事をもつ。

本の内容とは？

本書は、ライター向けの講座で講師も務める田中氏が、これまで授業で伝えてきた必要だと思うことと、Twitterで気がつくままに述べてきたことや対談などから、書くための考え方について伝える初めての著書である。

この本はよくある「文章テクニック本」ではない。文章にはテクニックなど必要なく、自分が読みたいものを書くことが、人が読んでおもしろい文章に繋がると田中氏は主張する。

クスッと笑える田中ワールドが魅力！

冒頭の唐突な一文から始まり、序章「なんのために書いたか」「なにを書くのか」「だれに書くのか」「どう書くのか」「なぜ書くのか」と、ユーモアあふれる文章でテンポよく展開されていく。

田中氏の豊富な知識から繰り出される数々の冗談と、時に大阪人らしいツッコミで身近な事例をズバッと斬るのがおもしろい。真面目な話も真面目で終わらせない仕掛けに、思わずクスッと笑ってしまう。

著者厳選の外部記事をその場でチェック

読むうちにはまっていく田中氏の魅力だが、中盤に登場する「田中泰延が書いた記事10選」では、簡単な解説とともにQRコードが用意されており、アクセスすればすぐに記事を読むことができる。どれも飽きずに次々と読めるものばかりだ。

就活生必見！電通に合格した履歴書とは

文章術コラムとして「履歴書の書き方」が紹介されている。

広告会社在籍中から就職活動に関わり、現在は就職セミナー講師も務める田中氏だが、「自己PR」と「志望動機」の良い例と悪い例について、具体的な文章を用いて指摘しており、自身が電通就職時に使用した履歴書も公開している。これから就職活動に挑む学生には、採用者側の視点を知ることができるため、大変参考になるコラムだ。

就職活動の前にこの本を読んだなら、本当に人生が変わるかもしれない。

「自分が楽しくなる文章」で人生が変わる

ブログやSNSで文章を気軽に発信するようになった今日、「人に読まれる文章が書きたい」と悩む人も多い。「なにを書くのか」「つまらない人間になっていないか」と本書の中で田中氏は問いかける。

この一冊を読めば、自分の書いてきた文章を振り返るきっかけとなり、あなたがこれから発信していく文章が、「自分が読みたいと思う文章」「自分が楽しくなる文章」に変わっていくことだろう。

文章に対する意識を変え、自分のために書くことを教えてくれるこの本を、文章を書くすべての人におすすめしたい。