朝日工業社(1975)、事業内容、ビジネスモデル、強みと成長可能性
- 2021.01.23
- 株式投資
本記事では、朝日工業社(1975)の業績、売上高等を分析、考察しています。時価総額が低い割に、売上規模や利益規模などはかなり大きい企業です。割安銘柄に分類されると思います。
まずは、客観的に事業内容を精査する前に実績値としての数字を見ていきたいと思います。
株価関連情報
(調査日時:2021/1/4)
時価総額:209億円
PER(予):65.71倍
PBR:0.61倍
PER(予)は、高めに出ていますが、一時的な利益減予想に基づくものでしょう。PBRをみると、0.61倍とかなり低めの値となっているので、下値は限定的と捉えることができるかもしれません。
株価チャート(10年)
10年チャートを見れば、2013年から2018年にかけて大きく飛躍しています。アベノミクスの恩恵を受けた銘柄と言えるでしょう。その後は横ばいといった感じです。
株価チャート(5年)
過去5年間は、2,500円〜3,500円のレンジで移動している感じです。
株価チャート(1年)
直近は下落が続いていますが、2,800円台が支持線になっている模様。
売上高推移
(単位:百万円)
2016年:72,900
2017年:79,724
2018年:85,064
2019年:88,979
2020年:103,964
2016年からは順調に売上高を伸ばしてきております。時価総額が200億円そこそこの企業で、1,000億円近くの売上高を出しているので、小型株という分類ではないと思いますが、時価総額的には小型に分類されても良い水準だと思われます。
営業利益推移
(単位:百万円)
2016年:2,842
2017年:3,722
2018年:3,833
2019年:3,307
2020年:3,661
営業利益ベースでも、2016年からコンスタンスに、20億円後半〜30億円後半を推移しているので、安定して高い水準の利益を出すことができる企業と言えるでしょう。
当期利益推移
(単位:百万円)
2016年:1,906
2017年:2,688
2018年:2,760
2019年:2,645
2020年:2,319
当期利益も、営業利益同様に、20億円前後で安定して出せる企業です。2020年の実績ベースでのPERを考えれば、PER10倍を割る水準ですので、かなり割安水準と言えるでしょう。利益ベースでは、2018年がピークだったと思われます。
ROE推移
(単位:%)
2016年:7.6
2017年:10.2
2018年:9.4
2019年:8.8
2020年:7.5
ROEも比較的高い水準をキープしていて、健全と言えるでしょう。
有利子負債推移
(単位:百万円)
2016年:3,300
2017年:3,300
2018年:6,200
2019年:5,600
2020年:5,000
有利子負債も、30億〜60億円の範囲で推移しています。2018年以降は、有利子負債も減少傾向にあります。業績が最も良かった年に大きく借り入れをしたことが背景にあるのでしょう。
現金等推移
(単位:百万円)
2016年:10,873
2017年:7,584
2018年:13,128
2019年:12,736
2020年:18,997
現金も潤沢にあります。2020年度では、約190億円近くあり、負債50億円に対しても、ネットキャッシュで140億円近くあることになります。
キャッシュフロー推移
営業活動のキャッシュフロー
(単位:百万円)
2016年:5,098
2017年:-1,732
2018年:5,036
2019年:2,008
2020年:8,112
営業活動のキャッシュフローは、2017年のマイナス17億円以外は、プラスで推移しています。かなり振れ幅はあるように見れるのですが、2019年と2020年の二つの年を足して割れば、平均では、約50億円ほどの営業キャッシュフローがあると予想できます。
投資活動のキャッシュフロー
(単位:百万円)
2016年:-343
2017年:-984
2018年:-1,457
2019年:-808
2020年:-385
投資活動のキャッシュフローは、営業キャッシュフローに比べてかなり低いことが分かります。
財務活動のキャッシュフロー
(単位:百万円)
2016年:-572
2017年:-573
2018年:1,965
2019年:-1,550
2020年:-1,457
財務キャッシュフローは、2018年以降継続的に減少傾向にあり、収益が良かった年には、財務内容を改善していることが分かります。
フリーキャッシュフロー
(単位:百万円)
2016年:4,693
2017年:-2,716
2018年:3,545
2019年:1,200
2020年:7,727
ここ数年は、フリーキャッシュフローがかなり良い状態が続いています。2013年以降は、大型の設備投資など建設業界が好調だったことが業績に寄与しているのでしょう。
事業内容
朝日工業社は、空調設備関連事業を展開している企業です。公式HPの事業内容をみると、設備工事事業と、機器製造販売事業を展開しています。
設備工事事業とは
HPを見ると、4つに分類されます。「空気調和・換気設備」「給排水・衛生・消化設備」「工場配管・乾燥・除塵設備」「クリーンルーム設備」の4つです。
一つ目の空気調和・換気設備は、さまざまな建物の空気に関する課題を、二つ目は、水周りに関する課題を、3つ目は、工場などの製造現場で求められる環境設備、4つ目は、特に医療現場などに求められる特異な環境構築となります。
事業領域としてのお客様
設備工事事業のお客様としては、病院介護施設、学校、ホテル、体育施設、水族館、プール、工場、研究所、オフィスビル、官公庁、空港、駅、テレビ局、デパート、地下商用施設、市場、などがあります。幅広い分野のお客様を相手にしていることが分かります。
共通点としては、施設は比較的大規模なところです。
機器販売事業とは
設備工事事業と、もう一つの事業領域として、「機器販売事業」があります。こちらは、自社で製造販売するメーカーとしての立ち位置になります。設備工事事業で培った環境構築を生かして、自分たちも設備工事に関わる製品のメーカーとして製品を販売するという文脈です。
設備工事事業では、様々な他社製品も活用して環境構築をすると推察されるのですが、機器販売事業は、特定の領域において、自社の製品を販売するという違いがあるのでしょう。
主な事業内容としては、半導体、FPD、電子分野向けの環境装置の製造・販売と記載があります。この領域の業界からの影響は多く受ける分野と言えるでしょう。
考察と今後
スクリーニングしていた時から、圧倒的に割安で放置されているという印象通りの数字内容でした。事業内容は、主に建設業界の影響を受ける形になります。
直近の年間有価証券報告書をみると、取引先相手先に、竹中工務店など大手建設会社各社と取引があることが分かります。
建設業界がここ数年好調だったことを背景に、フリーキャッシュフローも好調で、キャッシュも積み上がっている状態です。
財務内容も見ても、投資その他の資産の項目に、投資有価証券を100億円近く保有しているので、ここ数年の株価の好調さも寄与しているのでしょう。
事業内容全体が、景気に大きく左右される建設業界や、FPD(フラットパネルディスプレイ)市場なので、今後の予想としては、若干不安要素はありますが、それでも現在の時価総額はかなり割安水準と考えられます。
領域としては、テーマ性があまりないため株価としては、企業の成長とともに、地味に成長し続ける形か、このまま放置されて横ばい、割安水準を維持するのかというところです。
新型コロナウィルスの影響も、民間投資部門においてはある模様で、今後の動向に注目する必要がある分野と言えます。
配当利回りが良いので、割安投資家でじっくり気長に持ち続けることが出来る人向きの銘柄と言えるでしょう。
テンバガー可能性
「C」
※「S」、「A」、「B」、「C」、「D」の5段階で勝手に評価した場合です。
※本記事に掲載されているコメントは、あくまで個人的見解に基づくものです。特定銘柄への投資を推奨するものではありません。また記載事項個人の調査に基づくものであり、100%正確であるとは限りませんので。くれぐれも投資は自己責任でお願い致します。
効率的に株式投資を学ぶ方法
個別の銘柄を細かく全てチェックする時間がない方には、いくつか効率的に勉強する方法があります。
方法①:著名な投資家の本を読むことで投資の本質を学ぶ
王道ですが、株式投資の本質を理解しておくことで、闇雲に銘柄をチェックする手間が省けます。
初心者の方は、早い段階で本質的な考え方や思考方法をウォーレンバフェットをはじめとした著名投資家の本を読み、インプットしておくことが長期で役に立つものだと信じています。
参考記事:【投資本・決定版】株式投資の本質を勉強するため、おすすめ10冊
方法②:無料のセミナーに参加して、学習すべきポイントだけをつかむ
無料提供という範囲の中で、とりあえず学習するべきポイントだけを抑えてしまうという方法です。
投資やお金に関する基礎を身につけることは、年齢の若い早いタイミングで身につけておくべき長期で役立つ教養となります。
関連サイト:
・株式投資を学ぶならファイナンシャルアカデミー
【公式】https://www.f-academy.jp/
・投資の達人になる投資講座
【公式】https://toushi-up.com/
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【公式】https://www.abcash.co.jp/
方法③:SBI証券アプリのスクリーニングでとにかく絞り込む
さまざまな指標を組み合わせてスクリーニングすることで、効率的に個別の銘柄に巡り会うという方法です。
3,600以上ある銘柄も上手なスクリーニングの方法で、素晴らしい銘柄と巡り会うことができます。